人工股関節手術

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人工股関節とは

「人工股関節」は文字通り、傷んでしまった本来の「ヒトの股関節」を代用するための代替品で、「インプラント」と呼ばれます。 デザインは様々で、欧米製や日本製のものを併せると100種類程度もあります。 当クリニックでは、股関節の状態や年齢、生活スタイル、性格などに合わせて、患者さまお一人おひとりに最適なデザインの「人工股関節」をご用意いたします。

その構造の基本的な部分は、どのデザインも同じです。 お椀型のソケットと呼ばれる屋根の部分と、棒状のステムと呼ばれる柱の部分を連結し、「股関節」を形成します。 関節部分は骨頭(セラミックや金属などで出来ています)と人工の軟骨で形成されます。インプラントの「耐久性」は人工軟骨の摩耗(擦り減ること)を如何に抑えるかによります。

近年、インプラントの改良が進み、その耐久性は向上しております。 耐久性をさらに向上させるためには、インプラントのデザインや手術の出来栄えも大切ですが、手術を受けられた方々の「日常生活場面での使い方」も重要です。

手術後の経過が順調ですと、つい油断して体調管理を怠ったり、無理な動きをしてしまいがちです。 インプラントの「耐久性」に関わる人工軟骨の摩耗の程度は、レントゲン写真によりすぐにわかります。 したがって、定期的に検診を受けることが大切です。

手術実績

開院より10年間で1715件

  • 60件
  • 182件
  • 184件
  • 183件
  • 182件
  • 168件
  • 160件
  • 162件
  • 162件
  • 165件

人工股関節 Q&A

どのような病気の方が手術を受ける?

「人工股関節」の手術を受けられる方は、股関節に重度な変形がみられる方です。 主には「変形性股関節症」、関節リウマチ、大腿骨頭壊死症という病名が挙げられます。

変形性股関節症には、変形の進行により「前期・初期・進行期・末期」という病期があります。 変形性股関節症が進行してしまい、「末期」の状態にある方は「人工股関節」の手術適応にあります。

前期
前期
初期
初期
進行期
進行期
末期
末期

手術を受けずに治す方法はないか?

現在の医療では、一度変形してしまった「股関節」を元の状態に戻す方法はありません。 「インプラント」を用いて、痛みのない股関節を取り戻すことが最善の策になります。

手術を受けずに「末期」変形性股関節症を長年抱えておられると、姿勢が歪み、他の関節まで悪くなってしまわれる方があります。 「早く手術しておけば」と後悔される前に、ご相談いただければと思います。

「手術」のイメージを誤解されておられる方も多いです。 医学は進歩しており、巷で聞いた噂も昔のことという場合もあります。 直接、ご相談いただくことをお勧めします。

手術をすると痛みはどれくらい改善する?

股関節の痛みの経過

手術前から術後1年までの股関節の痛みの程度をアンケートで答えていただきました。
「考えられる最大の痛み」を100点、「全く痛みがない」を0点としています。

痛みの経過グラフ
(2016年日本股関節学会にて発表)

手術後1年では手術前に比べて、股関節の痛みは1/10以下

約90%の方が痛みがほとんどない状態

*人工股関節の手術を受けると、股関節の「関節部分」はインプラントと置き換えられ、神経がないため痛みを感じることはありません。
多くの方が長い間、股関節の痛みを抱えておられた影響で、股関節の周りの筋肉に問題が生じています。その筋肉の痛みは手術を受けてもすぐに改善するわけではなく、リハビリを継続することで徐々に改善してきます。
最終的に痛みがなくなるまで担当理学療法士がフォローします。

きれいに歩くことができるようになる?

きれいに歩くことができる方の割合

きれいに歩くことができる方の割合グラフ
(2016年日本股関節学会にて発表)

手術後6か月で約70%、1年後には約90%の方がきれいに歩いておられます

*きれいに歩くことができるようになるまで担当理学療法士がフォローします。

手術後に困ることはある?

「ヒトの股関節」とは異なり、「人工の股関節」ですので取り扱いには注意が必要です。 生活上においても工夫が必要なことはありますが、手術前よりは明らかに快適に生活ができるようになります。

「重たい物を持ってはいけないのでしょ?」とよく聞かれますが、そのような制限はありません。ご自分で持てる範囲の重さであれば問題ありません。 また、歩く量にも特に制限はありません。痛みのなくなった新しい足で思う存分人生を楽しんでいただきたいと思います。

ゴルフやテニスなどスポーツを楽しんでおられる方も多いです。 気になることがありましたら、気軽にご相談ください。

退院後すぐに仕事復帰できる?

仕事復帰が可能になるまでの日数は、お仕事の内容や通勤方法によって異なります。 当クリニックの入院は、あえて4週間という十分な期間を設けています。それは術後早期の大事な時期に集中的にリハビリを受けていただきたいからです。入院中は毎日午前と午後の1時間程度ずつリハビリを行います。そのため退院後すぐにお仕事に復帰できる方も多いです。

デスクワークなど活動性の高くないお仕事であれば、退院後すぐに復帰可能かと思います。 しかし、重労働や立ち仕事、1日の歩く量が多いような仕事の場合は、退院後も手術部位の回復期間を十分にとってから復帰されることをお勧めしています。

人工関節の耐久性は?

以前は「人工股関節の手術は60歳まで待つほうが良い」と説明されている先生が多かったですが、現在はその傾向は変わってきています。インプラントの性能が上がり、10年、20年はもちろん、手術後30年を超えてもインプラントに問題がない方も多数おられます。実際に、当クリニックでも人工関節の耐久性の問題で再手術を余儀なくされた方は未だおられません。定期的に検診を行い、問題がないか確認いたしております。